「危機」と対峙する保守思想誌

表現者クライテリオン

2023年9月号8/16発売! 【特集】インフレは悪くない、悪いのは「低賃金」だ!

啓文社/啓文社書房

表現者クライテリオン2023年11月号

表現者クライテリオン2023年11月号

2023.10.10

〔特集〕
「過剰医療」の構造――病院文明のニヒリズム

巻頭言

我々にとってなくてはならない「医療」。しかし、それが「過剰」な水準に達した場合、
逆説的にも我々に様々な「被害」がもたらされることになる。薬の過剰摂取は体に毒で
あるし、健康に配慮しすぎて味気ない暮らしになれば我々の幸福が大きく棄損する。
さらには過剰医療が加速すれば、医療費の肥大化に恐れをなした政府が過度に緊縮的に
なり、その結果経済が疲弊していくということにもなる。
 こうした過剰医療の背後にあるのが生命至上主義という名のニヒリズム(虚無主義)だ。
このニヒリズムと拝金主義者が結託し、生命至上主義を言い訳にして過剰医療を加速させ
つつ効率的に患者達と政府から大量のマネーを吸い上げ続けるという詐称的システムが、
今の日本の医療界において構築されてしまっている。
 本特集では、こうした状況はもはや「病院文明」と呼ぶに相応しいものに堕落した
文明状況であることを描写しつつ、そこで横行する過剰医療の恐るべき不条理を明らかに
すると共に、その超克の術を考える。
                      表現者クライテリオン編集長 藤井聡

【特集座談会】

・生を蝕む「病院文明」に抗うために/森田洋之×大脇幸志郎×藤井 聡

【特集論考】

・人間のための医療か、医療のための人間なのか?――「過剰医療」批判序説/浜崎洋介
・ウイルス学者から見たコロナ対策の異常さ/宮沢孝幸
・なぜ秀才たちは鬼化して人間を喰うのか――HPVワクチン接種被害とそれへの一部フェミニストの加担を問う/井上芳保
・セキュリティ技術が支配する社会――生活に浸透する“生政治”/美馬達哉
・〈自己の死〉と向き合わなければ医療は腐敗する――薬学倫理の視点から見える「致命的な欠点」/松島哲久
・医療を蝕む「利益第一」主義の実態――ベテラン医師がその諸相を描く/武久洋三
・近代医療は人を幸せにするのか/木村盛世
・過剰医療研究をより良い医療に生かすために/冨永晃輝

【特別座談会】

ウィトゲンシュタインと「言葉の魂」をめぐって(前編)/古田徹也×藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎

【連載】

・「農」を語る 第1回 有機農業の意義を問い直す/松原隆一郎×藤井 聡
・映画で語る保守思想 第7回 戦争が呼び覚ます「運命」の感覚――『ひまわり』を題材に(前編)/藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎
・「アジアの新世紀」
  〔企画始動記念座談会〕保守から考えるアジアの近代――福田恆存の「韓国論」を手がかりに(第三回)「保守的アジア主義」を目指せ/藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎
   危機と好機 安岡正篤の場合(第一回)近代日本の矛盾/大場一央
・「危機感のない日本」の危機 「超」がつくほどに無知で無能な政治が続く/大石久和
・虚構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー第二十九回 マルクスの亡霊たち 日本人の「一神教」理解の問題点/富岡幸一郎
・経世済民 虫の目・鳥の目 第4回「貯蓄から投資へ」お金を回すだけでは経済は成長しない/田内 学
・徹底検証! 霞が関の舞台裏 脱藩官僚による官僚批評 第5回 政治の役割を再認識せよ――政治が決断すれば霞が関はこれに従う/室伏謙一
・逆張りのメディア論32 新聞記者に足りないのは営業経験だ/松林 薫
・欲望の戦後音楽ディスクガイド 第6回 Radiohead / Kid A/篠崎奏平
・東京ブレンバスター⑧ バルタン星人と犍陀多 現代移民考/但馬オサム
・編集長クライテリア日記 令和五年八月~九月/藤井 聡

【巻末オピニオン】

・米中対立は「新しい冷戦」ではない/柴山桂太

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表現者クライテリオン2023年9月号

表現者クライテリオン2023年9月号

2023.08.07

巻頭言

ウクライナ情勢に端を発する資源・エネルギー・食料不足と円安によって、ウクライナ情勢に端を発する資源・エネルギー・食料不足と円安によって、我が国は一気に「デフレ」から「インフレ」への局面に移行した。この局面展開を受け、岸田内閣は金融“緩和”政策も、“積極”財政政策も縮小、中止の方向へと方針を転換する見込みが高まっている。
しかし、今、問題なのはインフレではなく「賃金の低迷」に他ならない。賃金上昇のためには、金融緩和も積極財政も必要であり、その中止・縮小は確実に賃金下落圧力を拡大する。では政府は「賃上げ」のために一体如何なる方針を打ち出すべきなのか? 現下のインフレを活用しつつ、真のデフレ脱却と賃金の実質的上昇を導く対策を、ここに改めて問う。
表現者クライテリオン編集長 藤井 聡

〔特集〕インフレは悪くない、悪いのは「低賃金」だ!

・特集によせて/藤井聡

【特集座談会】

・「健全なインフレ」に向けた戦略論――自由民主党・西田昌司、城内実両氏に聞く/西田昌司×城内 実×藤井 聡

【特集対談】

・あらためて「貨幣の謎」を考える
第㊀部 講義編 現代貨幣理論(MMT)には何が見えていないのか? /大澤真幸
 第㊁部 対談編 貨幣と資本主義をめぐって/大澤真幸×柴山桂太

・「政府による貨幣発行」、その思想の原点を探る――前明石市長・泉房穂が語る「民のための政治」/泉 房穂×藤井 聡

【特集論考】

・債務国家とインフレの政治学/柴山桂太

・論拠なき移民国家化を憂う/施 光恒

・宵越しの銭を持たぬために――「デフレ脱却」の思想/浜崎洋介

・増えた税収は国民に還元せよ――実質賃金減少を招く元凶は緊縮財政/田村秀男

・財務省が仕掛けた「一〇〇〇億円縛り」の罠――「骨太の方針」を巡る攻防を読み解く/須田慎一郎

・羊頭を掲げて狗肉を売る政権/森永康平

・岸田政権は金融緩和と積極財政のポリシーミックスを継続できるか/会田卓司

・日本再生の障害は自民党である/鈴木傾城

〔連載〕

【連載】

・「アジアの新世紀」
〔企画始動記念座談会〕保守から考えるアジアの近代――福田恆存の「韓国論」を手がかりに(第二回)アジアの過剰な「適応」と「反発」/藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎
  拝啓 王毅・中国共産党中央政治局委員殿――二つのアジア主義の峻別を/坪内隆彦

・「危機感のない日本」の危機 超が付く不思議の転落国・日本/大石久和

・「農」を語る 第3回 人と自然を取り持つ「農」/中貝宗治×藤井 聡

・虛構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー第二十八回 マルクスの亡霊たち 『人新世の「資本論」』批判(余滴)/ 富岡幸一郎

・徹底検証! 霞が関の舞台裏 脱藩官僚による官僚批評 第4回 新自由主義の呪縛から逃れられない霞が関/室伏謙一

・ナショナリズム再考 第22回(最終回)リベラリズムとナショナリティ:再論/白川俊介

・やわらか日本文化論 官僚志望者の減少は良いことか/施 光恒

・経世済民 虫の目・鳥の目 第3回 今さら聞けないコストプッシュインフレの真実/田内 学

・映画で語る保守思想 第6回 『仁義なき戦い』に見る、「父」を失った日本人(後編)/藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎

・欲望の戦後音楽ディスクガイド 第5回 MURO / Diggin’ Ice 2020/篠崎奏平

・東京ブレンバスター⑦ 日米開戦の裏にアニメあり/但馬オサム

・編集長クライテリア日記 令和五年六月~七月/藤井 聡

【巻末オピニオン】

・生成するAI、構想する人間/川端祐一郎

【書評】

・『忘れられた戦争の記憶 日本人と〝大東亜戦争〟』 小幡 敏 著/長谷川三千子

・『Nの廻廊 ある友をめぐるきれぎれの回想』 保阪正康 著/平坂純一

・『現代日本経済史 現場記者50年の証言』 田村秀男 著/田中孝太郎

・『土に贖う』 河﨑秋子 著/橋場麻由

・『人間の条件』 ハンナ・アレント 著/前田龍之祐

【その他】

・〔表現者奨励賞受賞記念〕私たちはガンディーにはなり得ない――沖縄の「平和主義」は「非暴力」主義に耐えうるか/藤原昌樹(寄稿)

・余白に耳を傾けて/首藤小町(寄稿)

・公教育にもっと投資を(鳥兜)

・権力腐敗を糺す「正義」を臆せず語るべし(鳥兜)

・河野大臣に不向きな仕事(保守放談)

・神経症者としての財務省(保守放談)

・塾生のページ

・読者からの手紙(投稿)

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読んで防ぐ腰痛の本 運動学から学ぶ腰痛改善のポイント 

読んで防ぐ腰痛の本 運動学から学ぶ腰痛改善のポイント 

2023.07.07

正しい知識と生活習慣で〝腰の崩壊〟を予防・改善

本書は腰痛対策のために行う体操やストレッチの具体的なやり方をお伝えするのが主旨ではありません。

なぜ痛みや不調が起こるのかを明らかにし、日常生活において正しく体を使って「腰痛になりにくい」状態をきっちり作っていただくことを目指しています。

腰痛になりにくい体にするためには、まず自分の体を知ることから始めて、ふだんの姿勢や生活習慣を見直しましょう。

本書を通じて腰痛に対する認識を改めて、「なんとなく腰痛」のうちに体の使い方や生活習慣を正し、自分の腰は自分で守りましょう。

著者紹介

著者:熊田祐貴(くまだ・ゆうき)

柔道整復師 鍼灸師/花園駅前鍼灸整骨院院長。

2013年、京都で花園駅前鍼灸整骨院を開業。たった1回で、つらい腰痛を治す施術は口コミで広がり、『女性自身』で「神の手をもつ治療院」として取材を受ける。

リピート率は90%以上を誇り、高度な治療技術は、全国からプロの整体師が学びに来ている。

ライフワークは、日本人の痛みの概念を変えること。生活習慣や日常生活による「痛みの根本原因」に日本人が意識を向けられるよう、講演会やセミナー、各マスコミにて意識改革に取り組んでいる。

 

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表現者クライテリオン 2023年7月号

表現者クライテリオン 2023年7月号

2023.06.09

巻頭言

「コスパ」とは、費用対効果という趣旨の「コスト・パフォーマンス」を意味する言葉だ。今、このコスパは私たちの実に多くの日常行為において重視され、今や「おカネ」だけでなく「時間」にも配慮すべきだという「タイパ」(タイム・パフォーマンス)に配慮する風潮すら生まれてきた。結果、観光地や美術館ですら足早に走り去り、映画やドラマを「早送り」で高速に「処理」する傾向が現代社会に拡大してきている。その姿はあらゆる自由を奪い取られ、ただひたすらにシステムに管理される「家畜」という存在になぞらえることができる。
そんなコスパ/タイパは我々に何をもたらすのか、何故に我々は過剰にそんなものを追い求めるようになったのか、そして我々はそこから抜け出す術はあるのか……。本誌表現者クライテリオンではこの視点から現代日本の絶望を深く掘り下げつつ、その中の希望のあり方を探る。

表現者クライテリオン編集長 藤井 聡

 

【特集】進化する“コスパ”至上主義――タイパ管理された家畜たち

 

[特集座談会]

・コスパ主義は「家畜化」への道である/三浦 展×藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介

 

[特集論考]

・文明としてのコスパ社会?――「見返り」の人類史・素描/與那覇 潤
・コスパ/タイパの追求がもたらす自己家畜化状態/上野吉一
・時代精神としてのコスパ志向――未来が外部性を喪失した時代/土井隆義
・自分らしく生きる――音楽の「幸せなコスパ」を目指して/野口剛夫
・結城座  両川船遊氏インタビュー「コスパ」から遠く離れて――「古典」と「現代」のあいだで/聞き手 浜崎洋介、小幡 敏

 

[新連載]

・「アジアの新世紀」企画始動記念座談会 保守から考えるアジアの近代――福田恆存の「韓国論」を手がかりに(第一回)日韓が直面した「適応異常」/藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎

 

[連載]

・「危機感のない日本」の危機 女性天皇の存在/大石久和
・「農」を語る 第2回 コスパを超えた「志」のちから/中貝宗治×藤井 聡・欧米保守思想に関するエッセイ 第12回
・トクヴィルの民主主義批判 Part②/伊藤 貫
・虚構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー第二十七回 マルクスの亡霊たち 新しい全体主義の到来③ 『人新世の「資本論」』批判(続)/富岡幸一郎
・逆張りのメディア論31 広島サミットで感じた気持ち悪さの正体/松林 薫
・徹底検証! 霞が関の舞台裏 脱藩官僚による官僚批評 第3回 霞が関に蔓延る「無謬性の神話」、「無責任の体系」が日本を停滞させ、衰退させる/室伏謙一
・経世済民 虫の目・鳥の目 第2回 価格に潜むワナ/田内 学
・映画で語る保守思想 第5回 『仁義なき戦い』に見る、「父」を失った日本人(中編)/藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎
・やわらか日本文化論「国作り」パラダイムへの帰還を(言葉から考える⑭)/施 光恒・欲望の戦後音楽ディスクガイド 第4回 Silk Sonic / An Evening With Silk Sonic/篠崎奏平
・東京ブレンバスター⑥ 満映とアニメーション/但馬オサム・編集長クライテリア日記 令和五年四月~五月/藤井 聡

 

[巻末オピニオン]

・総括広島サミット 米大統領の「謝罪無き」原爆死没者慰霊を実現させた岸田総理の「罪」/藤井 聡

 

[書評]

・『古武術に学ぶ――子どものこころとからだの育てかた』甲野善紀 著/前田龍之祐・『アメリカは内戦に向かうのか』バーバラ・F・ウォルター 著/橋本 悠・『戦争とオカルティズム――現人神天皇と神憑り軍人』藤巻一保 著/早瀬善彦

 

[その他]

・第五回 表現者賞・奨励賞発表・表現者奨励賞受賞記念 ルイス島のチェス駒が教えてくれること――中世ヨーロッパの気候変動/橋本由美(寄稿)
・コスパ・タイパ主義に見る現代の「孤独」(鳥兜)
・「トランス女性の権利」と「女性の権利」(鳥兜)
・現代文明は安い労働力を求める(保守放談)
・「岸田氏長男総理秘書官辞任」が示唆する深刻な問題(保守放談)
・入館管理は“修羅場の仕事”と心得よ(保守放談)
・塾生のページ
・読者からの手紙(投稿)

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本日発売の週刊朝日に『早慶戦全記録』を元にした記事が掲載

本日発売の週刊朝日に『早慶戦全記録』を元にした記事が掲載

2023.04.25

本日発売の週刊朝日に『早慶戦全記録 伝統2大学の熱すぎる戦い』のデータを元にした記事が掲載されました。

週刊朝日早慶戦120年

記事では「かつてプロ野球より人気を集めた」早慶戦の歴史を、早稲田の挑戦状から始まった1903年の第一戦目から、盛り上がりが最高潮に達した1960年代まで振り返っています。

さまざまな関係者の証言により往年の熱狂の空気が蘇ります。

記事には『早慶戦全記録 伝統2大学の熱すぎる戦い』(2019年,啓文社書房)の編著者堤哲さんも協力。記事内のデータは本書に依っています。

本記事をお読みになって早慶戦ご興味を持たれたら、ぜひこの機会に本書もお手にお取りください。

本書の紹介に代えて、三田評論でお書きいただいた書評のリンクを記載します。
熱く推して頂いた本評、是非こちらもご覧ください!

「とにかくすごい本だ」對馬好一(【書評】『早慶戦全記録 伝統2大学の熱すぎる戦い』)

https://www.mita-hyoron.keio.ac.jp/other/202002-1.html

 

 

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いま、人間関係に悩んでいるひび割れさんの本

いま、人間関係に悩んでいるひび割れさんの本

2023.04.12

2023/4/14発売!『いま、人間関係に悩んでいるひび割れさんの本』

悩んだ時こそ「原点」に戻る

「ひび割れさん」とは、人間関係に何らかのトラブルを抱え、心にひび割れを生じてしまった人のことです。

本書はそんな危険を回避し、たとえ心がひび割れてしまったとしても、すぐに修復し、本来の自分を取り戻す方法をテーマに書いています。その方法は、とてもシンプルです。

悩んだときにこそ、自然の秩序と原理に従って、日々の暮らしに適用することです。
自然を観察することで発見された原理にこそ、人間本来の生き方のコツが隠されています。

【出版日】2023年4月14日
【著者】塩川哲郎
【出版社】啓文社書房

著者紹介

塩川哲郎(しおかわ・てつろう)

1960年、鹿児島県生まれ。株式会社Coach喜働の代表取締役。一般社団法人倫理研究所法人局・法人スーパーバイザー。
コンサルティング会社でトップコンサルタントとして活躍したのち、31歳で独立。
1995年に鹿児島県倫理法人会に入会。鹿児島県会長を経て、2008年より倫理法人会の母体組織である、一般社団法人倫理研究所の法人局、法人スーパーバイザーに就任。
「人はなぜ幸せになれないのか?」を人生のテーマに掲げ、「人間関係の法則」について体験を含め、全国各地で講演活動を行う。辿り着いたのは、人間の原点は、「愛」と「恐れ」というたった2つの感情であるということ。そして、「その感情と、どう向かい合うか」とは、すなわち「自分の心とうまく付き合う技術」そのものであるという真理だった。ひび割れた人間関係に悩むすべての人に向けて、倫理の教えに基づく「幸せに生きるためのヒント」を届ける活動を行っている。

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表現者クライテリオン 2023年5月号

表現者クライテリオン 2023年5月号

2023.04.11

巻頭言

日本は今、四半世紀に及ぶデフレ不況の継続の中、海外要因による物価高にも見舞われ経済疲弊は加速している。そして、米中露の覇権戦争の激化の煽りを受けて安全保障上の危機もまた急速に拡大している。しかし岸田総理は、それらに対する抜本的対策を全てお座なりにしながら“人気取り”のための皮相的政策に終始しているやに見える。
ところがそうした態度に対する世論からの総理批判は拡大せず、支持が不支持を上回り始めた。つまり、国民は自らが政権を監視し批判する重大な責務を負っている事実を忘れ、日本の政治を「他者」としての政府に「任せきり」にしているのである。だとするなら、そのリーダーたる岸田文雄氏は、そんな「依存症」とも言いうる現代の日本人、すなわち『ニッポンジン』の象徴的存在であるとの実態が浮かび上がる。本特集はこうした認識の下、岸田総理の政治を包括的に批評・批判することを通して現代日本人の本質をえぐり出し、現下の危機を乗り越える現実的方途を探らんとするものである。

表現者クライテリオン編集長 藤井 聡

【特集】「岸田文雄」はニッポンジンの象徴である “依存症”のなれの果て

[特集座談会]

・岸田文雄とは何者か?/亀井静香×藤井 聡×浜崎洋介

[特集対談]

・佐高信が語る、岸田政権の腐敗と病理/佐高 信×藤井 聡

[特集論考]

・「日本の歴史」に聞く耳持たぬ岸田首相――その言葉は宏池会、財務省の鋳造品/上島嘉郎

・私たちの「からっぽ」を乗り越えるために――戦後日本人試論/浜崎洋介

・緊縮財政こそ財政破綻への道ではないか/森永康平

・人として持つべき「死生観」を失った感染対策の愚/甲野善紀

・「猿蟹合戦」から考える依存症者によって作られる社会の末路/仁平千香子・表現の自由とは何か/呉 智英

[特別寄稿]

・SDGs批判序説/長谷川三千子

[新連載]

経世済民 虫の目・鳥の目(第1回 紙幣から見えるもの)田内 学

塾生のページ

[連載]

「危機感のない日本」の危機 天皇意識の喪失と日本の消滅/大石久和

「農」を語る 第1回 人と自然を取り持つ「農」/中貝宗治×藤井 聡

欧米保守思想に関するエッセイ 第11回 トクヴィルの民主主義批判 Part①/伊藤 貫

徹底検証! 霞が関の舞台裏 脱藩官僚による官僚批評 第2回 「官高政低」がもたらす財政民主主義の否定/室伏謙一

虚構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー 第二十六回 大江健三郎の文学と戦後民主主義/富岡幸一郎

逆張りのメディア論30 AIは新聞を殺すのか/松林 薫

ナショナリズム再考 第21回 リベラリズムは世代間正義を論じることができるか(三)愛着と忠誠の政治哲学序説㊉/白川俊介

戦争を知らないオトナたち 第四回 凍てつく日の丸――落日の大地シベリアに生きる②/小幡 敏

映画で語る保守思想 第4回 『仁義なき戦い』に見る、「父」を失った日本人(前編)/藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎

葬られた国民作家 獅子文六(最終回)ユーモア小説の系譜――戦後派的デカダンスの時代に/平坂純一

東京ブレンバスター⑤ 柔術と英国フェミニズム/但馬オサム

欲望の戦後音楽ディスクガイド 第3回 The Shaggs / Philosophy of the World/篠崎奏平

編集長クライテリア日記 令和五年二月~三月/藤井 聡

〔巻末オピニオン〕 ・安倍「器」論・再考――『安倍晋三 回顧録』を読んで/浜崎洋介

[書評]

『異常の構造』木村 敏 著/前田龍之祐

『中村菊男 政治の非合理性に挑んだ改革者』清滝仁志 著/田中孝太郎

『新しい階級闘争 大都市エリートから民主主義を守る』マイケル・リンド 著/橋本 悠

[その他]

多様性に関する多様な考察/髙江啓祐(寄稿)

岸田総理のウクライナ電撃訪問をただ賞賛する愚(鳥兜)

リモート国会は代議制の否定(鳥兜)

「推奨」してもらいたい日本人――他者依存の成れの果て(保守放談)

アメリカが「普通の国」になる日(保守放談)

「コオロギ食」騒ぎと「新しい生活様式」(保守放談)

読者からの手紙(投稿)

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中村菊男 政治の非合理性に挑んだ改革者

中村菊男 政治の非合理性に挑んだ改革者

2023.03.12

2023/3/15刊行!中村菊雄 政治の非合理性に挑んだ改革者』
日本政治の特異性を、数少ない「公共知識人」中村菊男の生涯を通じて読み解く。


【出版日】2023/3/15
【著者】清滝仁志
【出版社】啓文社書房
【定価】本体2500円+税

 

内容紹介

中村菊男は民主社会主義を唱えているが、社会主義者としてのイメージにはまったく当てはまらない。  中村は、今日よく見かける感情的議論や党派的主張とは無縁である。小泉信三に代表される慶應大学の自由主義の伝統を意識しつつも、数々の時事問題について、自由の抽象的論議でなく、学問的知見に拠って現実主義的見解を次々に表明していった。
 そうした中村菊男の活動は、民主社会主義の名のもとに、保守を含む多様な議論を受け容れることにつながったのである。  
 本書を著すきっかけは、そうした実践的学者の中村が中道左派の【保守的】ねじれを解明する鍵となると考えたからだ。
 本書を通して、中道左派の現実主義的知識人・中村菊男の活動を紐解く過程を通じて、日本政治の特異性を確認していきたい。

 

著者紹介

清滝仁志(つだ・ゆきお)
昭和41(1966)年北九州市生まれ、九州大学法学部卒。九州大学大学院法学研究科博士課程修了。専門は西洋政治思想史。トロント大学客員研究員(2011‐2013)、政策研究フォーラム常務理事(2021‐)、駒澤大学法学部教授・博士(法学)。
著書に『近代化と国民統合 イギリス政治の伝統と改革』(木鐸社)、『純理自由主義者 河合栄治郎 改革者の使命と実践』(啓文社書房)がある。

 

目次

<目次>
第一章/その知的形成と学問研鑽
第二章/政治の実践経験
第三章/日本政治史の研究
第四章/明治憲法体制の解釈
第五章/政治心理学と政治文化論
第六章/民主社会主義運動の実践
第七章/民主社会主義の展開と戦後知識人批判
第八章/憲法改正と安全保障問題
第九章/伊勢志摩と中村政治学
おわりに/中村菊男の人と思想

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表現者クライテリオン 2023年3月号

表現者クライテリオン 2023年3月号

2023.02.15

表現者クライテリオン2023年3月号巻頭言

SDGs(持続可能な開発目標)やAI(人工知能)はそれ自身、大変結構な話だ。もしも万一それによって何も毀損しないのなら、それは無いよりもあったほうがいいに決まってはいる。

しかし、何やら新しきものを軽々に初めてしまえば実に多くのものが失われ得るのが世の常だ。にも関わらず現代の令和日本には、新手のスローガンさえ唱えておけばそれがデジタルであろうがDXであろうがGXであろうが兎にも角にも否定できぬとのこわばった空気が世間に充満している。

このことはつまり、現代人の多くが今やクライテリオン(規準)不在のままにただただスローガンを嘯きつつ公益・国益を無意図的に激しく既存し続ける愚挙に日々従事している事を意味している。

本誌ではこうした現代日本の醜態を憂い、SDGsやAIなどのスローガンの不条理を徹底批判する。読者各位がこざかしい魔語に心乱されぬ精神を涵養せんとする、その一助にならんとすることが本特集の主旨である。是非ともご一読願いたい。

表現者クライテリオン編集長 藤井聡

【特集】SDGs/AI批判序説 スローガンに群がる愚

[特集インタビュー]
・養老孟司、SDGsとAIを語る/養老孟司 聞き手 浜崎洋介

[特集論考]
・SDGsという陥穽 大合唱の裏に何があるのか/池田清彦
・AIとの融合は「人間」を幸せにするか/仲正昌樹
・AIの「知能観」 シンギュラリティ論に惑わされないために/川端祐一郎
・ポストモダン左派はなぜウソをつくのか/掛谷英紀
・スローガンの裏に潜む「ケガレの動員」に警戒せよ/辻田真佐憲
・SDGsよりも「常若」を/葛城奈海

[特別座談会]

・積極財政の政治を実現せよ 自民党衆議院議員 城内実・中村裕之両氏に聞く/城内 実×中村裕之×藤井 聡
・統計学・行動科学から問い直す、「コロナ専門家」の倫理観[後編]/松原 望×竹村和久×藤井 聡

[連載]

・「危機感のない日本」の危機 「公」を持たない日本人(試論/大石久和
・[新連載]徹底検証! 霞が関の舞台裏 脱藩官僚による官僚批評 第①回 昨今の財務省の動きを検証する/室伏謙一
・「農」を語る 第3回 「農」は人間精神を守る最後の砦/堤 未果×藤井 聡
・欧米保守思想に関するエッセイ 第10回 プラトンの「国家」 哲人統治の必要性と不可能性というパラドックス/伊藤 貫
・虛構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー 第二十五回 マルクスの亡霊たち 新しい全体主義の到来②/富岡幸一郎
・戦争を知らないオトナたち 第三回 凍てつく日の丸 落日の大地シベリアに生きる/小幡 敏
・逆張りのメディア論29 反戦報道が引き寄せる台湾有事/松林 薫
・ナショナリズム再考 第20回 リベラリズムは世代間正義を論じることができるか(二)愛着と忠誠の政治哲学序説㊈/白川俊介
・葬られた国民作家 獅子文六 第四回 亡命からの復権 敗戦三部作/平坂純一
・欲望の戦後音楽ディスクガイド 第2回 Joy Division/Unknown Pleasures/篠崎奏平
・映画で語る保守思想 第3回 『ランボー』に見る、怒りと復讐の倫理(後編/藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎
・東京ブレンバスター④ 格闘技の聖地としての靖国神社/但馬オサム
・編集長クライテリア日記 令和四年十二月~令和五年一月/藤井 聡

[その他]

・「AI」という名のルサンチマン 現代の進歩主義に告ぐ(鳥兜)
・日本のエリートは「中央集権化」の時代を担い得るのか?(鳥兜)
・債務とは何か? 信用貨幣と商品貨幣の違い/ムギタロー(特別寄稿)
・性急な教育と悠長な教育/高江啓祐(寄稿)
・読者からの手紙
・『民主主義とは何か』 宇野重規著/前田龍之祐(書評)
・新自由主義から新重商主義へ/柴山桂太(巻末オピニオン)
・「徹底自粛」論はどこへ行ったのか?(保守放談)
・コロナ政策、その「失敗の本質」(保守放談)

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【2023年2月9日発売】日本語肯定論——〈否定〉から〈肯定〉への意識改革

【2023年2月9日発売】日本語肯定論——〈否定〉から〈肯定〉への意識改革

2023.01.16

2023/2/9刊行予定!『日本語肯定論』——〈否定〉から〈肯定〉への意識改革


【出版日】2023/2/9
【著者】津田幸男
【出版社】啓文社書房
【定価】本体1800円+税

 

内容紹介

このままでは日本語がなくなる!?
このままグローバル化が進めば、日本語は消滅する。
日本語こそが、国防の基盤

~~~~~~~

本書は、日本語のすばらしさに焦点を当てることにより、日本人が日本語のすばらしさに気づき、日本語に誇りと自信と強い「自己肯定感」を打ち立てることを目的とするものであります。日本を力強く存続発展させるためはもちろんのこと、世界を今よりも平和で幸福なところに導いていくためにも、日本人が日本語への誇りと自信と強い「自己肯定感」を持つことは必須の要件です。

~~~~~~~

「日本の危機」を乗り越えるために、日本人が「覚醒」するための三要素

第一に、日本人が日本人としての強い「自己肯定感」を持つこと。日本語、日本文化、日本を肯定する。

第二に、日本と日本語を護るという強い「安全保障意識」を持つこと。ひとことで言えば、「日本語愛」を持つ。

第三に、グローバル化に流されない「日本人としての強いアイデンティティ意識」を持つこと。個々の文化を破壊する全体主義的なグローバリズムの危険性に気づくこと。

 

著者紹介

津田幸男(つだ・ゆきお)
1950年神奈川県生まれ。筑波大学名誉教授。長崎大学助教授、
名古屋大学教授、筑波大学教授を歴任。南イリノイ大学大学院
スピーチコミュニケーション学科博士課程修了
(Ph.D. in Speech Communication, 1985)。
主な著書に、
Language Inequality and Distortion(1986, John Benjamins, オランダ)。
『英語支配の構造』(1986、第三書館)
『侵略する英語 反撃する日本語」(1996、PHP研究所)
『グローバル・コミュニケーション論』(共編著)(2002、ナカニシヤ出版)
『英語支配とは何か』(2003、明石書店)
『英語支配とことばの平等』(2006、慶応義塾大学出版会)
『日本語防衛論』(2011、小学館)
『日本語を護れ!』(2013、明治書院)
がある。

 

目次

第一部 「すばらしい日本語と日本の『精神文化』~その魅力と可能性」
 第一章 日本語肯定論~日本語の五つの魅力
 第二章 日本語の国際共通語としての可能性
 第三章 [講演]日本の「精神文化」を世界に伝える~国語教育と日本語教育の使命

第二部 「日本語をいかに守るか~言葉の安全保障論」
 第四章 [講演]日本語は日本を守る防波堤~「日本語で何でもできる国」を守る
 第五章 [講演]英語支配と日本語の安全保障~日本語を守るために何をすべきか
 第六章 「英語の氾濫」の実態と対策~あえて「外来語規制法」を提案する

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