「危機」と対峙する保守思想誌

表現者クライテリオン

2024年7月号好評発売中! 【特集】自民党は保守政党なのか?―戦後政治を超克するために

啓文社/啓文社書房

表現者クライテリオン2024年7月号巻頭言

表現者クライテリオン2024年7月号巻頭言

2024.06.12

【特集】自民党は「保守政党」なのか?ー戦後政治を超克するために

巻頭言

 今日、自民党は一般に「保守政党」だと見なされている。自民党自身も自らを、常に進歩を目指す「保守政党」だと自己規定してもいる。しかし、自由民主党はそもそもLiberal Democratic Party(=リベラル・デモクラティック党)であり、党名からして保守というよりもむしろ「リベラル」政党だ。しかも民のリベラル(自由主義)的傾向が強ければ、「自由民主」という言葉は「自由自由」を意味するものとなり、ますますリベラル政党だということとなる。そう考えれば、自民党が、今もなお日本国民の内に残されている良質な伝統や文化を「保守」するどころか「破壊」する傾きを持つ新自由主義やグローバリズムや移民政策等の推進といった、保守というよりはむしろリベラルな諸方針を強力に推進し続けているのも、必然だということもできる。

 この状況の中で、支持する政党を見失ってしまうこととなったのが、保守的傾向を持つ人々だ。かつて自民党は彼らの受け皿としても機能していた一方、彼らの多くが今、過剰な新自由主義の推進方針やLGBT関連法案等に反発する恰好で自民党から離れ始めている。そしていま、日本保守党や参政党、日本維新の会などの保守を標榜する新しい政党群が生まれ始めている。

 ついては「危機と対峙する保守思想誌」たる本誌では、日本の政治の立て直し、そして戦後政治の超克を企図し、今日本で求められるべき「保守」政治とは一体如何なるものなのか、そして今、自民党を中心とした各種政党が標榜する「保守」というものが一体如何ほどにそこから乖離しているのかを改めて問う特集『自民党は「保守政党」なのか?』をここに編纂することとした。

  表現者クライテリオン編集長 藤井 聡

目次

【特集座談会】

・日本において「保守政治」は可能か?/吉田 徹×白井 聡×藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎

・自由と民主だけでは「保守政党」にあらず/伊吹文明×藤井 聡

・自民党はなぜ劣化したのか/小沢一郎×堀 茂樹×藤井 聡×柴山桂太

【特集論考】

・自民党は何を保守すべきなのか―自民党は何を保守すべきなのか/西田昌司

・保守にとっての「ヘゲモニー」の戦略/仲正昌樹

・食料・農業・農村を犠牲にして我が身を守るのは保守ではない/鈴木宣弘

・現代日本社会における保守政党と自民党/西田亮介

・「質の高い普通の人々」を生み出し続ける国づくりをめざせ!/施 光恒

【新連載】

・風土と共同体 第一回 風土再生の根本問題(一)/山口敬太

【連載】

・「危機感のない日本」の危機―東京一極集中による国家崩壊の恐怖/大石久和

・與那覇潤連続対談 在野の「知」を歩く 第2回 古典をよむのは「逆張り」ですか?(後編)/ゲスト 綿野恵太

・「農」を語る 第2回 世界に誇るべき日本の小規模農業/山極壽一×藤井 聡

・アジアの新世紀 新連載 不可視のイスラーム帝国 ユーラシアを再編する学僧たち 第1回 修行のイスラーム文化/山本直輝

・映画で語る保守思想 第11回 絶望の淵で見出す「希望」とは?―『ペパーミント・キャンディー』を題材に(中編)/藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎

・虚構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー 第三十二回 マルクスの亡霊たち―日本人の「一神教」理解の問題点④/富岡幸一郎

・徹底検証! 霞が関の舞台裏 脱藩官僚による官僚批評 第9回 規制改革の舞台裏/室伏謙一

・ひこばえ 風土に根ざす智慧と美徳 第二回 着物と刀―想いをまとい、美を携える―/首藤小町

・経世済民 虫の目・鳥の目 第8回(最終回) 金融教育が日本を滅ぼさないために/田内 学

・欲望の戦後音楽ディスクガイド 第10回 OKI / No One’s Land/篠崎奏平

・東京ブレンバスター⑫ ミツ荒川とオッペンハイマー/但馬オサム

【巻末オピニオン】

・徳と鏡―政治改革論に足りないもの/柴山桂太

【書評】

・『ておくれの現代社会論 ○○と□□ロジー』中島啓勝 著/田中孝太郎

・『政治哲学とイデオロギー レオ・シュトラウスの政治哲学論』早瀬善彦 著/杉谷和哉

・『末裔』絲山秋子 著/橋場麻由

・『たまたま、この世界に生まれて ミラン・クンデラと運命』須藤輝彦 著/前田龍之祐

【その他】

・「戦後レジーム」と「保守本流」 岸田文雄アメリカ演説を考える(鳥兜)

・ラディカルな政治運動と結びつくスピリチュアリズム(鳥兜)

・アイデンティティの「改変」――二十一世紀の「左翼」が目指すもの(保守放談)

・無反省なまま繰り返される観光公害(保守放談)

・塾生のページ

・読者からの手紙(投稿)

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【あの座談会の待望の単行本化!】『絶望の果ての戦後論 ––文学から読み解く日本精神のゆくえ』

【あの座談会の待望の単行本化!】『絶望の果ての戦後論 ––文学から読み解く日本精神のゆくえ』

2024.05.16

2024/5/31発売!浜崎洋介 編著 『絶望の果ての戦後論−−文学から読み解く日本精神のゆくえ』

『表現者クライテリオン』誌上で2018年〜2020年に行われた座談会、「対米従属文学論」が待望の単行本化!第二部に浜崎洋介の戦後文学批評の決定版とも言える論考「観念的な、あまりに観念的なーー戦後批評の「弱さ」について」を収録!

【出版日】2024/5/31
【編著者】浜崎洋介
【著者】藤井聡、柴山桂太、川端祐一郎、富岡幸一郎
【出版社】啓文社書房

編著者紹介

78年埼玉生まれ。日本大学芸術学部卒業、東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻博士課程修了、博士(学術)。文芸批評家、京都大学大学院特定准教授。
著書に『福田恆存 思想の〈かたち〉 イロニー・演戯・言葉』『反戦後論』『三島由紀夫 なぜ、死んでみせねばならなかったのか』『小林秀雄の「人生」論』『ぼんやりとした不安の近代日本』。共著に『西部邁最後の思索「日本人とは、そも何者ぞ」』など。
編著に福田恆存アンソロジー三部作『保守とは何か』『国家とは何か』『人間とは何か』。

内容紹介

文芸誌には絶対に載らない、ド直球の文学論!

太宰治、三島由紀夫、大江健三郎、村上春樹、村上龍、高橋源一郎、島田雅彦……。

藤井聡(京都大学大学院教授)「日本がどうしようもない隷属状況に置かれていることを、もし今の日本人が皆冷静に認識しているのなら、こんな文学はゴミ箱に捨てればいい」

多極化する世界で、アメリカに甘えてきた日本人は自立できるのか。

日本人の真価を問う 「対米従属文学論


目次

まえがき    浜崎洋介

第一部 座談会 対米従属文学論

 第一章 「平和」への戸惑い  太宰治「トカトントン」/大岡昇平「生きている俘虜」

 第二章 「戦後的日常」への頽落──「第三の新人」をめぐって  小島信夫『アメリカン・スクール』/安岡章太郎「ガラスの靴」

 第三章 「戦後的日常」の拒絶  三島由紀夫『真夏の死』/『憂国』

 第四章 戦後的ニヒリズムへの「監禁」  大江健三郎「後退的青年研究所」/「セヴンティーン」

 第五章 戦後的ニヒリズムの臨界値  開高健『輝ける闇』/村上龍『限りなく透明に近いブルー』

 第六章 高度成長後の風景  村上春樹『風の歌を聴け』/田中康夫『なんとなく、クリスタル』

 第七章 「国土の荒廃」を読む  石牟礼道子『苦海浄土─わが水俣病』/富岡多恵子『波うつ土地』

 第八章 「ポスト・モダン」の頽落を超えて  高橋源一郎『さようなら、ギャングたち』/島田雅彦『優しいサヨクのための嬉遊曲』

第二部 観念的な、あまりに観念的なーー戦後批評の「弱さ」について    浜崎洋介

 Ⅰ 内なる他者の発見

 Ⅱ 隠された弱さ

 Ⅲ 自己を超えるものへの問い

 Ⅳ 観念のカタストロフィ

 Ⅴ 滅びぬ自然

あとがき     藤井聡

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表現者クライテリオン2024年5月号

表現者クライテリオン2024年5月号

2024.04.10

〔特集〕不信の構造、腐敗の正体――政治・エンタメ・財務省

【特集対談】
・日本国家の腐敗をいかに乗り越えるか/亀井静香×藤井 聡
・日本を腐敗させる財務省の工作――政官業+メディアは如何に癒着しているか/須田慎一郎×藤井 聡

【特集論考】
・「戦後家族」の運命――私たちの不信と腐敗の起源をめぐって/浜崎洋介
・民主主義にとって「信頼」はなぜ重要か?/吉田 徹
・過剰な「透明性」がメディアを解体する――権力との「癒着」は腐敗なのか/松林 薫
・特権と人権の区別つかぬ自民党/佐高 信
・「木原事件」が炙り出すマスメディアの沈黙――報道機関を覆う「統制」と「横並び」/西脇亨輔
・「内なる地上波信仰」を捨てよ――ジャニーズ問題とその「腐敗の正体」/辻田真佐憲

【新連載】
・與那覇潤連続対談 在野の「知」を歩く 第1回 古典をよむのは「逆張り」ですか?(前編)/(ゲスト)綿野恵太
・ひこばえ 風土に根ざす智慧と美徳 第一回 令和に芽ぐむやまとごころ/首藤小町

【連載】
・「農」を語る 第1回 「農」から考える、文明のあるべき姿/山極壽一×藤井 聡
・映画で語る保守思想 第10回 絶望の淵で見出す「希望」とは? 『ペパーミント・キャンディー』を題材に(前編)/藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎
・「危機感のない日本」の危機――どこから見ても崩壊している日本/大石久和
・アジアの新世紀 王道を以て覇道を制す――私の見た言論とその未来/大場一央
・虚構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー 第三十一回 マルクスの亡霊たち 日本人の「一神教」理解の問題点③/富岡幸一郎
・徹底検証! 霞が関の舞台裏 脱藩官僚による官僚批評 第8回 国家の役割を取り戻せ!(後編) 民間委託の推進は本当にいいことなのか? 室伏謙一
・経世済民 虫の目・鳥の目  第7回 将来のハイパーインフレに備えるべきこと/田内 学
・欲望の戦後音楽ディスクガイド 第9回 Sun Ra / Space Is the Place/篠崎奏平
・東京ブレンバスター⑪ 同情闘争は始まっている/但馬オサム
・編集長クライテリア日記 令和六年二月~三月/藤井 聡

【巻末オピニオン】
・「嘘」に塗れた日銀利上げ――腐敗を糺さんがために、不信の目を持つべし/藤井 聡

【書評】
・『嫉妬論 民主社会に渦巻く情念を解剖する』山本圭 著/前田龍之祐
・『日本哲学入門』藤田正勝 著/粕谷文昭
・『他人の家』ソン・ウォンピョン 著/橋場麻由
・『キェルケゴール 生の苦悩に向き合う哲学』鈴木祐丞 著/前田一樹
・『一神教と帝国』内田 樹、中田 考、山本直輝 著/冨永晃輝

【その他】
・挽肉は傷みやすい/吉田真澄(寄稿)
・保護主義への準備を(鳥兜)
・なぜデフレ脱却、憲法改正、近代の超克が必要なのか?(鳥兜)
・観念に囚われた病人――滅ぶ日本の必然(保守放談)
・大阪万博の行き詰まりが象徴するもの(保守放談)
・塾生のページ
・読者からの手紙(投稿)

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表現者クライテリオン2024年3月号

表現者クライテリオン2024年3月号

2024.02.06

〔特集〕日本を救うインフラ論――今、真に必要な思想

【特集座談会】
・「インフラ論」なくして政治は語れず/脇 雅史×西田昌司×藤井 聡
・インフラ論で日本は「明るく」なる/白水靖郎×藤井 聡×浜崎洋介

【特集インタビュー】
・「水道老朽化」と「水不足」に危機感を持て/橋本淳司

【特集論考】
・国土計画と産業政策――戦後体制の最良の部分を蘇らせよ/柴山桂太
・緊縮財政論がインフラを蝕む――貧困化の道を突き進む日本/大石久和
・流域共同体の誕生、崩壊そして再生――分散社会へのインフラ投資/竹村公太郎
・理念・理想なきインフラ政策が導く未来/佐々木邦明
・インフラを語ることは、将来の日本と社会のあり方そのものを語ることである/小池淳司
・阪急沿線開発事業にみられる小林一三の思想――真に豊かな国家とは/星山京子
・宮本常一のインフラ論――地方の孤立を救う道路啓開論/中尾聡史
・土木バッシング世論の「黒幕」/田中皓介
・「毒」のある意志――日本人の苦手なインフラ思考/川端祐一郎

【特別座談会】
・アカデミズムとジャーナリズムの連携を探る――学術誌『実践政策学』がめざすもの(後編)/石田東生×桑子敏雄×森栗茂一×藤井 聡

【連載】
・「アジアの新世紀」
  中国化の先に来た「リストカット化する日本」(後編)/與那覇 潤(聞き手 浜崎洋介)
 危機と好機 安岡正篤の場合(最終回) 日本主義がつくる「アジアの新世紀」/大場一央
  台湾・金門島から考える、東アジアの安定とは/田中孝太郎
・「危機感のない日本」の危機 経営者による日本破壊/大石久和
・「農」を語る(第3回)有機農業は日本再生の第一歩である/松原隆一郎×藤井 聡
・虚構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー(第三十回)マルクスの亡霊たち 日本人の「一神教」理解の問題点②/富岡幸一郎
・徹底検証! 霞が関の舞台裏 脱藩官僚による官僚批評(第7回)公共事業悪玉論が日本を自然災害に対して脆弱にした――「財政余力」ではなく「国土強靭化余力」の形成を/室伏謙一
・映画で語る保守思想(第9回)戦争が呼び覚ます「運命」の感覚――『ひまわり』を題材に(後編)/藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎
・経世済民 虫の目・鳥の目(第6回)お金の蓄積が将来の備えにならない当然の理由/田内 学
・欲望の戦後音楽ディスクガイド(第8回)Beck / Mellow Gold/篠崎奏平
・東京ブレンバスター⑩ 日本的ダサさが世界をリードする――アバンギャルディ、没個性の個性/但馬オサム
・編集長クライテリア日記 令和五年十二月~令和六年一月/藤井 聡

【巻末オピニオン】
・平和的であれ、暴力的であれ/川端祐一郎

【書評】
・『訂正可能性の哲学』東 浩紀 著/粕谷文昭
・『きみのお金は誰のため』田内 学 著/小野耕資
・『「逆張り」の研究』綿野恵太 著/前田龍之祐
・『食客論』星野 太 著/橋場麻由

【その他】
・(第六回)表現者賞発表
・正統(ショウトウ)とは何か/前田健太郎(寄稿)
・「政治」を失った社会――敗けてしまった国の末路(鳥兜)
・世界を動かす「ありがた迷惑」な思想(鳥兜)
・不確定事実に対する「知らんけど」批判による常識強化(保守放談)
・派閥は保守政治の宿命(保守放談)
・キャンセルカルチャーとしての「派閥解散」(保守放談)
・塾生のページ
・読者からの手紙(投降)

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支那の対日宣伝策 支那における国防と新聞事業の統制

支那の対日宣伝策 支那における国防と新聞事業の統制

2023.12.14

【出版日】2023/9/5
【著者】海軍省海軍軍事普及部 編
【出版社】経営科学出版

内容紹介

◆恐るべきプロパガンダの教科書

本書を一読すれば、中国が仕掛ける宣伝工作の本質が見えて来る——

◆世界的な日本非難を導くことに成功した中国国民党の宣伝戦

こうした宣伝工作は現在も中国共産党がそのまま引き継いでおり、日本への謀略活動を展開している。

◆中国人が仕掛ける宣伝工作の本質

非人道的思想や心理的嫌悪感を煽り、国民の敵国に対する憎悪の念を増幅させれば、敵愾心は火の如く燃え上がる。その中でも最も有効な方法は、女性や子供に対して屈辱を与えることである。あるいは前線にいる兵士に、残された家族が大変な目に遭っているとわざと伝えて、望郷の念を募らせ、戦意を喪失させる――

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高貴なる敗北 下巻

高貴なる敗北 下巻

2023.12.14

【出版日】2023/3/15
【著者】アイヴァン・モリス(著)、斎藤和明(翻訳)
【出版社】経営科学出版

内容紹介

「日本人とは何か?」を国際的な視点から捉えた名作がついに復刻!下巻では西郷隆盛をはじめ3人の「悲劇の英雄」と、その血脈を受け継いだ「カミカゼ特攻の戦士たち」を収録。”自己の尊厳を守り抜くための日本人独特の価値観とはなんなのか?”歪められた西洋の日本文化観の瞑想を啓いて、悲劇の英雄像の美学を打ち立てた名作の復刻です。

目次

日本のメシア―天草四郎
「救民」の旗幟―大塩平八郎
大西郷崇拝―西郷隆盛
いさぎよく散りて果てなむ

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高貴なる敗北 上巻

高貴なる敗北 上巻

2023.12.14

【出版日】2023/3/15
【著者】アイヴァン・モリス(著)、斎藤和明(翻訳)
【出版社】経営科学出版

内容紹介

「日本人とは何か?」を国際的な視点から捉えた名作がついに復刻!1975年、イギリス人作家アイヴァン・モリス氏によって執筆されたこの書籍は、NYタイムズに取り上げられるなど大きな話題を呼びました。1981年には日本語訳版も出版され、当時の新聞や雑誌が書評を載せるなど大きく取り上げられていたのですが、絶版となってしまったのです。「誠心ゆえの没落」に見る日本人独特の気高さとはいったいなんなのか?上巻では、日本武尊を筆頭に、菅原道真や源義経、楠木正成といった6人の「悲劇の英雄」から読み解いていきます。

目次

ひとつ松、わが兄よ―日本武尊
天皇の楯―捕鳥部万
憂愁の皇子―有馬皇子
菅原道真―落魄者の神
没落の中からの勝利―源義経
七生報国―楠木正成

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表現者クライテリオン2024年1月号

表現者クライテリオン2024年1月号

2023.12.10

〔特集〕「政治と宗教」を問う――神道・仏教からザイム真理教まで

【特集座談会】
・日本人よ、自らの“宗教性”を自覚せよ/島薗 進×施 光恒×藤井 聡×柴山桂太

【特集インタビュー】
・ザイム真理教という「カルト」による国家破壊/森永卓郎(聞き手 藤井 聡)
・イスラーム法学者に聞く、「文明」の生命力と「一神教」の理念/中田 考(聞き手 川端祐一郎)

【特集論考】
・大衆的な、あまりに大衆的な――「信仰」なき現代を問う/浜崎洋介
・どうして「宗教」に接するのを恐れるのか/仲正昌樹
・福音派はなぜ政治を動かせるのか――アメリカの「政教分離」が意味するもの/会田弘継
・人は宗教を欠いて戦争を扱い得るか/小幡 敏
・仏国土思想から見た日本の国体――その成立と展開/金子宗德
・神道指令による「日本人」の解体/富岡幸一郎

【特別座談会】
・アカデミズムとジャーナリズムの連携を探る――学術誌『実践政策学』がめざすもの(前編)/石田東生×桑子敏雄×森栗茂一×藤井 聡
・ウィトゲンシュタインと「言葉の魂」をめぐって(後編)/古田徹也×藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎

【連載】
・「アジアの新世紀」
 中国化の先に来た「リストカット化する日本」(前編)/與那覇 潤(聞き手 浜崎洋介)
 危機と好機 安岡正篤の場合(第二回)権藤成卿と安岡正篤/大場一央
・「危機感のない日本」の危機 安全保障と日本人/大石久和
・「農」を語る(第2回)有機農業をめぐる、外圧・グローバル企業とのせめぎ合い/松原隆一郎×藤井 聡
・経世済民 虫の目・鳥の目(第5回)今さら聞けない金利と通貨の話/田内 学
・映画で語る保守思想(第8回)戦争が呼び覚ます「運命」の感覚――『ひまわり』を題材に(中編)/藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎
・徹底検証! 霞が関の舞台裏 脱藩官僚による官僚批評(第6回)国家の役割を取り戻せ!(前編)国家機能の溶解を防ぐことはできるか?/室伏謙一
・逆張りのメディア論33 「次のジャニーズ事件」防止に必要なもの/松林 薫
・欲望の戦後音楽ディスクガイド(第7回)The Rolling Stones / Hackney Diamonds/篠崎奏平
・東京ブレンバスター⑨ 風に吹かれて――戦争の本質/但馬オサム
・編集長クライテリア日記 令和五年十月~十一月/藤井 聡

【巻末オピニオン】
・近代日本人の「信仰」を問う 大岡昇平の「襲撃」をめぐって 浜崎洋介

【書評】
・『謝罪論 謝るとは何をすることなのか』古田徹也 著/粕谷文昭
・『隣国の発見 日韓併合期に日本人は何を見たか』鄭 大均 著/小野耕資
・『ヴァレリー 芸術と身体の哲学』伊藤亜紗 著/前田龍之祐
・『ユダヤ人の自己憎悪』テオドール・レッシング 著/橋場麻由
・『歴史から学ぶ比較政治制度論 日英米仏豪』小堀眞裕 著/早瀬善彦

【その他】
・無形の霊性――横山大観の絵を見て/首藤小町(寄稿)
・アメリカありきの経済安保(鳥兜)
・二〇二四年問題という“馬鹿ばなし”(鳥兜)
・新興宗教との関わり方も「国民の伝統」に基づくべし(保守放談) 
・なぜグローバリストは未熟に見えるのか?(保守放談)
・塾生のページ
・読者からの手紙(投稿)

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表現者クライテリオン2023年11月号

表現者クライテリオン2023年11月号

2023.10.10

〔特集〕
「過剰医療」の構造――病院文明のニヒリズム

巻頭言

我々にとってなくてはならない「医療」。しかし、それが「過剰」な水準に達した場合、
逆説的にも我々に様々な「被害」がもたらされることになる。薬の過剰摂取は体に毒で
あるし、健康に配慮しすぎて味気ない暮らしになれば我々の幸福が大きく棄損する。
さらには過剰医療が加速すれば、医療費の肥大化に恐れをなした政府が過度に緊縮的に
なり、その結果経済が疲弊していくということにもなる。
 こうした過剰医療の背後にあるのが生命至上主義という名のニヒリズム(虚無主義)だ。
このニヒリズムと拝金主義者が結託し、生命至上主義を言い訳にして過剰医療を加速させ
つつ効率的に患者達と政府から大量のマネーを吸い上げ続けるという詐称的システムが、
今の日本の医療界において構築されてしまっている。
 本特集では、こうした状況はもはや「病院文明」と呼ぶに相応しいものに堕落した
文明状況であることを描写しつつ、そこで横行する過剰医療の恐るべき不条理を明らかに
すると共に、その超克の術を考える。
                      表現者クライテリオン編集長 藤井聡

【特集座談会】

・生を蝕む「病院文明」に抗うために/森田洋之×大脇幸志郎×藤井 聡

【特集論考】

・人間のための医療か、医療のための人間なのか?――「過剰医療」批判序説/浜崎洋介
・ウイルス学者から見たコロナ対策の異常さ/宮沢孝幸
・なぜ秀才たちは鬼化して人間を喰うのか――HPVワクチン接種被害とそれへの一部フェミニストの加担を問う/井上芳保
・セキュリティ技術が支配する社会――生活に浸透する“生政治”/美馬達哉
・〈自己の死〉と向き合わなければ医療は腐敗する――薬学倫理の視点から見える「致命的な欠点」/松島哲久
・医療を蝕む「利益第一」主義の実態――ベテラン医師がその諸相を描く/武久洋三
・近代医療は人を幸せにするのか/木村盛世
・過剰医療研究をより良い医療に生かすために/冨永晃輝

【特別座談会】

ウィトゲンシュタインと「言葉の魂」をめぐって(前編)/古田徹也×藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎

【連載】

・「農」を語る 第1回 有機農業の意義を問い直す/松原隆一郎×藤井 聡
・映画で語る保守思想 第7回 戦争が呼び覚ます「運命」の感覚――『ひまわり』を題材に(前編)/藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎
・「アジアの新世紀」
  〔企画始動記念座談会〕保守から考えるアジアの近代――福田恆存の「韓国論」を手がかりに(第三回)「保守的アジア主義」を目指せ/藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎
   危機と好機 安岡正篤の場合(第一回)近代日本の矛盾/大場一央
・「危機感のない日本」の危機 「超」がつくほどに無知で無能な政治が続く/大石久和
・虚構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー第二十九回 マルクスの亡霊たち 日本人の「一神教」理解の問題点/富岡幸一郎
・経世済民 虫の目・鳥の目 第4回「貯蓄から投資へ」お金を回すだけでは経済は成長しない/田内 学
・徹底検証! 霞が関の舞台裏 脱藩官僚による官僚批評 第5回 政治の役割を再認識せよ――政治が決断すれば霞が関はこれに従う/室伏謙一
・逆張りのメディア論32 新聞記者に足りないのは営業経験だ/松林 薫
・欲望の戦後音楽ディスクガイド 第6回 Radiohead / Kid A/篠崎奏平
・東京ブレンバスター⑧ バルタン星人と犍陀多 現代移民考/但馬オサム
・編集長クライテリア日記 令和五年八月~九月/藤井 聡

【巻末オピニオン】

・米中対立は「新しい冷戦」ではない/柴山桂太

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表現者クライテリオン2023年9月号

表現者クライテリオン2023年9月号

2023.08.07

巻頭言

ウクライナ情勢に端を発する資源・エネルギー・食料不足と円安によって、ウクライナ情勢に端を発する資源・エネルギー・食料不足と円安によって、我が国は一気に「デフレ」から「インフレ」への局面に移行した。この局面展開を受け、岸田内閣は金融“緩和”政策も、“積極”財政政策も縮小、中止の方向へと方針を転換する見込みが高まっている。
しかし、今、問題なのはインフレではなく「賃金の低迷」に他ならない。賃金上昇のためには、金融緩和も積極財政も必要であり、その中止・縮小は確実に賃金下落圧力を拡大する。では政府は「賃上げ」のために一体如何なる方針を打ち出すべきなのか? 現下のインフレを活用しつつ、真のデフレ脱却と賃金の実質的上昇を導く対策を、ここに改めて問う。
表現者クライテリオン編集長 藤井 聡

〔特集〕インフレは悪くない、悪いのは「低賃金」だ!

・特集によせて/藤井聡

【特集座談会】

・「健全なインフレ」に向けた戦略論――自由民主党・西田昌司、城内実両氏に聞く/西田昌司×城内 実×藤井 聡

【特集対談】

・あらためて「貨幣の謎」を考える
第㊀部 講義編 現代貨幣理論(MMT)には何が見えていないのか? /大澤真幸
 第㊁部 対談編 貨幣と資本主義をめぐって/大澤真幸×柴山桂太

・「政府による貨幣発行」、その思想の原点を探る――前明石市長・泉房穂が語る「民のための政治」/泉 房穂×藤井 聡

【特集論考】

・債務国家とインフレの政治学/柴山桂太

・論拠なき移民国家化を憂う/施 光恒

・宵越しの銭を持たぬために――「デフレ脱却」の思想/浜崎洋介

・増えた税収は国民に還元せよ――実質賃金減少を招く元凶は緊縮財政/田村秀男

・財務省が仕掛けた「一〇〇〇億円縛り」の罠――「骨太の方針」を巡る攻防を読み解く/須田慎一郎

・羊頭を掲げて狗肉を売る政権/森永康平

・岸田政権は金融緩和と積極財政のポリシーミックスを継続できるか/会田卓司

・日本再生の障害は自民党である/鈴木傾城

〔連載〕

【連載】

・「アジアの新世紀」
〔企画始動記念座談会〕保守から考えるアジアの近代――福田恆存の「韓国論」を手がかりに(第二回)アジアの過剰な「適応」と「反発」/藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎
  拝啓 王毅・中国共産党中央政治局委員殿――二つのアジア主義の峻別を/坪内隆彦

・「危機感のない日本」の危機 超が付く不思議の転落国・日本/大石久和

・「農」を語る 第3回 人と自然を取り持つ「農」/中貝宗治×藤井 聡

・虛構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー第二十八回 マルクスの亡霊たち 『人新世の「資本論」』批判(余滴)/ 富岡幸一郎

・徹底検証! 霞が関の舞台裏 脱藩官僚による官僚批評 第4回 新自由主義の呪縛から逃れられない霞が関/室伏謙一

・ナショナリズム再考 第22回(最終回)リベラリズムとナショナリティ:再論/白川俊介

・やわらか日本文化論 官僚志望者の減少は良いことか/施 光恒

・経世済民 虫の目・鳥の目 第3回 今さら聞けないコストプッシュインフレの真実/田内 学

・映画で語る保守思想 第6回 『仁義なき戦い』に見る、「父」を失った日本人(後編)/藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎

・欲望の戦後音楽ディスクガイド 第5回 MURO / Diggin’ Ice 2020/篠崎奏平

・東京ブレンバスター⑦ 日米開戦の裏にアニメあり/但馬オサム

・編集長クライテリア日記 令和五年六月~七月/藤井 聡

【巻末オピニオン】

・生成するAI、構想する人間/川端祐一郎

【書評】

・『忘れられた戦争の記憶 日本人と〝大東亜戦争〟』 小幡 敏 著/長谷川三千子

・『Nの廻廊 ある友をめぐるきれぎれの回想』 保阪正康 著/平坂純一

・『現代日本経済史 現場記者50年の証言』 田村秀男 著/田中孝太郎

・『土に贖う』 河﨑秋子 著/橋場麻由

・『人間の条件』 ハンナ・アレント 著/前田龍之祐

【その他】

・〔表現者奨励賞受賞記念〕私たちはガンディーにはなり得ない――沖縄の「平和主義」は「非暴力」主義に耐えうるか/藤原昌樹(寄稿)

・余白に耳を傾けて/首藤小町(寄稿)

・公教育にもっと投資を(鳥兜)

・権力腐敗を糺す「正義」を臆せず語るべし(鳥兜)

・河野大臣に不向きな仕事(保守放談)

・神経症者としての財務省(保守放談)

・塾生のページ

・読者からの手紙(投稿)

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