「危機」と対峙する保守思想誌

表現者クライテリオン

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啓文社/啓文社書房

岡山典弘著『三島由紀夫が愛した美女たち』

岡山典弘著『三島由紀夫が愛した美女たち』

2016.10.17


20161006

 

宮家令嬢から映画女優まで

三島が憧れ、恋心を抱き、熱愛した女性との物語を

三島研究の第一人者が描く!

三島由紀夫の半生は、魅力的な女性に彩られていた。
周知のとおり三島は、透徹した「眼」をもつ作家である。少年期から独自の美意識を研ぎ澄まして、絢爛たる〝三島美学〟を構築した。その「眼」は、文学に向けられ、演劇に向けられ、映画に向けられ、美術に向けられ、そして女性に向けられた。

――稀代の審美眼をもつ三島は、どのような外観の女性に憧れたのか?
十一、二歳の少年の官能を呼び覚ましたのは、一冊の岩波文庫だった。オスカー・ワイルドの『サロメ』である。多感な少年は、ワイルドの詩句はもとより、オーブリー・ビアズレーの神秘的で幻想的で官能的で悪の香りのするサロメ像にいたく魅了された。
あるいは、アントワーヌ・ヴァトーの「シテール島への船出」に描かれたロココ調の貴婦人。あるいは、自著『岬にての物語』を彩った蕗谷虹児の儚げな美少女。あるいは、古沢岩美の宇宙的な寂寥を感じさせながらも花のようにエロティックな美女。……

――三島は、実生活でどのような女性に惹かれて、相手に何を求めたのか? 彼女たちは、三島から何を学びとり、どのようにして〝大輪の花〟を咲かせたのか?
映画『からっ風野郎』で三島の恋人役を演じた若尾文子。
この世のものとは思えない天上界の麗人・美輪明宏。
三島との結婚が噂されたシャンソンの女王・越路吹雪。
三島が丹精こめて育てあげた新劇女優の村松英子。

――また、三島と親しかった令嬢や貴婦人は、どのように小説に描かれたのか?
フランス大使の令嬢『仮面の告白』の三谷邦子。
赤坂の高級料亭の箱入娘『沈める滝』の豊田貞子。
羽林家の流れをくむ『幸福号出帆』の東久世壽々子。
典雅なサロンの主宰者『鏡子の家』の湯浅あつ子。
加賀百万石のお姫様『豊饒の海』の酒井美意子。
悲劇の宮家の妃『豊饒の海』の北白川祥子。

本書では、三島とこれら十人の美女との人生の軌跡が交差するさまを描いた。
三島が彼女たちと過ごした日から、これまでに半世紀以上のときが経過している。彼女たちのなかには幽明境を異にした者も多く、記録が散逸するおそれがあることから、三島由紀夫生誕九十年・没後四十五年を期して、一書にとりまとめたものである。
執筆に当たっては、無味乾燥な事実の羅列とならないように会話を多くして、三島と美女たちが共有した時間をヴィヴットに再現することを心がけた。また、広範な資料の蒐集と読み込みを行い、従来の三島評伝には記述されていないエピソードの発掘と紹介に努めた。
一人でも多くの方に本書を手にとっていただき、三島と十人の美女たちの物語を堪能してもらえれば、筆者としてこれにまさる喜びはない。
生前の三島は、日輪のような眩い光芒を発した。その光りを浴びた美女たちは、月のごとく清らかであった。「昭和」という時代は、男も女も輝いていた。

【目次】

序文 宮崎正弘

はじめに

第一章 映画女優 若尾文子

第二章 天上界の麗人 美輪明宏

第三章 シャンソンの女王 越路吹雪

第四章 新劇女優 村松英子

第五章 三島文学のモデルとなった佳人

第一節 『仮面の告白』の三谷邦子

第二節 『沈める滝』の豊田貞子

第三節 『幸福号出帆』の東久世壽々子

第四節 『鏡子の家』の湯浅あつ子

第五節 『豊饒の海』の酒井美意子

第六節 『豊饒の海』の北白川祥子

 

四六版並製 232頁

ISBN 978-4-89992-020-5 C0095 定価:本体1800円+税

2016年10月29日発売

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