表現者クライテリオン2020年9月号(通巻92号) 8月15日発売
表現者クライテリオン2020年9月号(通巻92号) 8月15日発売
2020.08.13
【特別インタビュー】
養老孟司、常識を語る(最終回)「手入れという思想」――「バカの壁」を乗り越えるために/聞き手:浜崎洋介
【特集】
「空気」に抗う社交の力/辻田真佐憲×本誌編集部
専門家支配から非専門家統制へ――「空気」の専制に抗して/野家啓一
総動員体制下の「新しい生活様式」――コロナウイルスとの「戦い」は「総力戦」なのか/井上雅人
「空気」の支配に抗して――社交と常識の倫理学/浜崎洋介
マスメディアは新型コロナをいかに報じたか――「アナウンス効果」が生んだ危機/窪田順生
メディアとのソーシャルディスタンスを取り戻せ/松林薫(逆張りのメディア論)
「ゾンビ企業」は潰れるべきとの「空気」の支配が日本の経済社会を破壊する――誤った方向に放たれ続ける「第三の矢」/室伏謙一(アベノミクスの失敗)
ベートーヴェンは怒っている/野口剛夫
「二重行政の無駄」という罪悪――大阪維新の会の医療政策を検証する/松嶋三夫
空気の否定か、爽快な自滅か/佐藤健志(一言一会)
【新連載】
自衛官とは何者か(第1回)国民の中の自衛隊、自衛隊の中の国民/磯邉精僊
【連載】
コロナからの問いに応えられない亡国の危機/大石久和(「危機感のない日本」の危機)
保守派Ⅰ/伊藤貫(国際政治学のパラダイム)
文学の黙示録――古井由吉『楽天記』/富岡幸一郎(虚構と言語 戦後文学のアルケオロジー)
伝統論の系譜学――T.S.エリオットから日本へ/柴山桂太(「常識」を考える)
芸術の科学――神経美学の試み/川端祐一郎(思想と科学の間で)
移動の自由がもたらす「リベラル・ディストピア」――「移動せずともよい社会」を目指して(二)コスモポリタニズム批判㊂/白川俊介(ナショナリズム再考)
「やさしさ」とマスク――言葉から考える④/施光恒(やわらか日本文化論)
関ケ原の戦いの謎/竹村公太郎(地形が作る日本の歴史)
第三次世界大戦を避けるため、国家を立て直せ(フランス保守論客インタビュー ジャン=ラサール「抵抗せよ」党首・下院議員 後半)/聞き手:及川健二
おい、自殺者は減っているぞ!/佐藤健志(だからこの世は宇宙のジョーク)
メディア出演瓦版/平坂純一
編集長クライテリア日記――令和二年四月~七月/藤井聡
【寄稿】
軍事技術と科学者/武田靖
昨今の学校教育について/髙山啓佑
【書評】
『天皇論 江藤淳と三島由紀夫』富岡幸一郎 著/薄井大澄
『マックス・ヴェーバー――主体的人間の悲喜劇』今野元 著/田中孝太郎
『日本経済学新論――渋沢栄一から下村治まで』中野剛志 著/篠崎泰平
『白人ナショナリズム――アメリカを揺るがす「文化的反動」』渡辺靖 著/佐藤慶治
【その他】
「コロナからの国家再生」の道を構想せよ / 中国――「国民国家」になれない国(鳥兜)
「命の選別」論争の不毛 / 教育機会を奪う大学の不条理を許すな(保守放談)
読者からの手紙(投稿)
我が国では新型コロナ感染症に対して「国民が一丸となってウイルスを抑え込むべし」
という想念が幅広く共有された結果、「コロナは怖い」から感染すること/させることは
「悪」であり自粛こそが「善」という“コロナ脳”とも呼ぶべき単純化された認識に世間が概ね支配された。
そして「自粛警察」とも言われた相互監視現象が拡大していったのだが、これはまさにかつて
評論家の山本七平が『「空気」の研究』で論じたこわばった空気が、令和の日本を席巻したことを意味している。
このこわばった空気の形成にはTVが中心的役割を果たしたが、そのTVにお墨付きを与えたのが専門家達であり、
その専門家達の権威を利用したのが中央政府であった。そして大阪の吉村知事や東京の小池知事は、
そのこわばった空気を活用しながらTV人気を獲得していった。言うまでもなく、空気によって膨張した政治権力が
我が国に激しい被害をもたらすことは必定だ。
ついては本誌では、こうして一気に拡大していった不条理なる「空気の支配」を様々な視点から批評すると同時に、
そこで明らかになった我が国の民主政治、マスメディア、さらには「専門家支配体制」のそれぞれの根底に横たわる
本質的問題をえぐり出すことを企図し、本特集を企画した。是非、ご一読されたい。
表現者クライテリオン編集長 藤井 聡
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