表現者クライテリオン 2020年11月号
表現者クライテリオン 2020年11月号
2020.11.17
☆巻頭言
「大阪を都にする」「大阪都を実現する」ための構想と思われがちな大阪都構想――
しかしその内実は単に大阪市という政令指定都市を廃止し、
「大阪市民」の財源と権限の一部を大阪府に譲渡し、かつ4分割するというもの。 いわば、大阪市という会社を潰して分社化して親会社である大阪府に組み入れるかのような構想が都構想なのだが、
それにも関わらず推進派の一貫した「イメージ戦略」によってまさに今、可決されんとしている。
本誌は、この構想は大阪市民の自滅を導くのみならず、全国民に深刻な被害をもたらす事を警告せんがために
ここに特集「『大阪都構想』で日本は没落する」を編纂した。
都構想の実現は第一に大阪の衰退を導く事を通して、第二にデマゴーグのみで直接投票を勝ち抜かんとする
民主政治の本格的劣化を通して確実に日本の没落を導く――この認識を明確かつ高らかに公の中で論じ尽くすことが、
住民投票の結果如何に関わらず、この没落から逃れ得る唯一の道なのである。
表現者クライテリオン編集長 藤井 聡
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☆特集 「大阪都構想」で日本は没落する――アフター・コロナの民主政治
☆【特集座談会】
◇「改革主義」は地方から乗り超えよ――戦後政治の転換点/室伏謙一×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎
◆民主主義のジレンマ――「正しきを主張」するか「長いものに巻かれる」か/柳本 顕×北野妙子×川嶋広稔×藤井 聡
☆【特集対談】
◇都構想を巡る言論戦は「日本の民主主義」を守る戦いである/山本太郎×藤井 聡
◆日本の民主政治を糺す/石破 茂×藤井 聡
☆【特集論考】
◇〈大阪都〉構想は机上の空論だ――財政効果と経済効果からみて/薬師院仁志
◆「大阪都構想」による大都市自治の破壊――アキレス腱としての財政問題/森 裕之
◇「都構想」をめぐるパワーゲーム――市民不在の政治劇を斬る/冨田宏治
◆「悪名は無名に勝る」は地獄の一丁目/辻田真佐憲
◇新たな「特別区設置協定書」を読み解く――「公明四条件」は絵に描いた餅である/大阪の自治を考える研究会
◆「首長ポピュリズム」の時代――日本のポピュリストはなぜ新自由主義者なのか/吉田 徹
☆【新連載】
◇移動の文学(第一回)計算尺【クライテリオン】を探して――ジョン・オカダ『ノーノー・ボーイ』を読む/仁平千香子
☆【連載】
◇南無阿弥陀仏の世界/大石久和(「危機感のない日本」の危機)
◆コロナ・ショックと食料自給――国産の食材こそ本当は安い/鈴木宣弘(農は国の本なり)
◇デフレ脱却はなぜ道半ばに終わったのか/服部茂幸(アベノミクスの失敗)
◆三島由紀夫の没後半世紀に/富岡幸一郎(虚構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー)
◇保守派II――防御的リアリズムと攻撃的リアリズム/伊藤貫(国際政治学のパラダイム)
◆伝統のラディカリズム/柴山桂太(「常識【コモンセンス】」を考える)
◇身体感覚の統合――テレワークやオンライン授業に欠けているもの/川端祐一郎(思想と科学の間で)
◆マンガと日本人の景色――言葉から考える5/施 光恒(やわらか日本文化論)
◇メディアの「反差別」が助長する差別と分断/松林 薫(逆張りのメディア論)
◆務めを果たさぬ日本人/磯邉精僊(自衛官とは何者か)
◇家康の隠居の謎――陸の防御都市、海の攻撃都市/竹村公太郎(地形がつくる日本の歴史)
◆「世界主義」を克服し、「国益」重視の外交を展開せよ/ブルーノ=ゴルニッシュ国民連合・前全国代表(前半)聞き手:及川健二(フランス保守論客インタビュー)
◇メディア出演瓦版/平坂純一
◆編集長クライテリア日記――令和二年七月~九月/藤井聡
☆【寄稿】
◇「ろくでもない、なればこそ」/谷川岳士
☆【書評】
◇『新・政の哲学』藤井 聡 著/篠崎奏平
◆『大洪水の後で 現代文学三十年』井口時男 著/薄井大澄
◇『詩としての哲学 ニーチェ・ハイデッガー・ローティ』冨田恭彦 著/酒井佑陶
☆【その他】 ◇「絶望」から始めよう――菅義偉新政権誕生に際して/ 共同体と党派性――健全な民主政治の条件(鳥兜)
◆「中小つぶし」など論外/ 『大衆の反逆』の新しさ――現代日本のための警鐘(保守放談)
◇読者からの手紙
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