「危機」と対峙する保守思想誌

表現者クライテリオン

2024年7月号好評発売中! 【特集】自民党は保守政党なのか?―戦後政治を超克するために

啓文社/啓文社書房

表現者クライテリオン2024年7月号巻頭言

表現者クライテリオン2024年7月号巻頭言

2024.06.12

【特集】自民党は「保守政党」なのか?ー戦後政治を超克するために

巻頭言

 今日、自民党は一般に「保守政党」だと見なされている。自民党自身も自らを、常に進歩を目指す「保守政党」だと自己規定してもいる。しかし、自由民主党はそもそもLiberal Democratic Party(=リベラル・デモクラティック党)であり、党名からして保守というよりもむしろ「リベラル」政党だ。しかも民のリベラル(自由主義)的傾向が強ければ、「自由民主」という言葉は「自由自由」を意味するものとなり、ますますリベラル政党だということとなる。そう考えれば、自民党が、今もなお日本国民の内に残されている良質な伝統や文化を「保守」するどころか「破壊」する傾きを持つ新自由主義やグローバリズムや移民政策等の推進といった、保守というよりはむしろリベラルな諸方針を強力に推進し続けているのも、必然だということもできる。

 この状況の中で、支持する政党を見失ってしまうこととなったのが、保守的傾向を持つ人々だ。かつて自民党は彼らの受け皿としても機能していた一方、彼らの多くが今、過剰な新自由主義の推進方針やLGBT関連法案等に反発する恰好で自民党から離れ始めている。そしていま、日本保守党や参政党、日本維新の会などの保守を標榜する新しい政党群が生まれ始めている。

 ついては「危機と対峙する保守思想誌」たる本誌では、日本の政治の立て直し、そして戦後政治の超克を企図し、今日本で求められるべき「保守」政治とは一体如何なるものなのか、そして今、自民党を中心とした各種政党が標榜する「保守」というものが一体如何ほどにそこから乖離しているのかを改めて問う特集『自民党は「保守政党」なのか?』をここに編纂することとした。

  表現者クライテリオン編集長 藤井 聡

目次

【特集座談会】

・日本において「保守政治」は可能か?/吉田 徹×白井 聡×藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎

・自由と民主だけでは「保守政党」にあらず/伊吹文明×藤井 聡

・自民党はなぜ劣化したのか/小沢一郎×堀 茂樹×藤井 聡×柴山桂太

【特集論考】

・自民党は何を保守すべきなのか―自民党は何を保守すべきなのか/西田昌司

・保守にとっての「ヘゲモニー」の戦略/仲正昌樹

・食料・農業・農村を犠牲にして我が身を守るのは保守ではない/鈴木宣弘

・現代日本社会における保守政党と自民党/西田亮介

・「質の高い普通の人々」を生み出し続ける国づくりをめざせ!/施 光恒

【新連載】

・風土と共同体 第一回 風土再生の根本問題(一)/山口敬太

【連載】

・「危機感のない日本」の危機―東京一極集中による国家崩壊の恐怖/大石久和

・與那覇潤連続対談 在野の「知」を歩く 第2回 古典をよむのは「逆張り」ですか?(後編)/ゲスト 綿野恵太

・「農」を語る 第2回 世界に誇るべき日本の小規模農業/山極壽一×藤井 聡

・アジアの新世紀 新連載 不可視のイスラーム帝国 ユーラシアを再編する学僧たち 第1回 修行のイスラーム文化/山本直輝

・映画で語る保守思想 第11回 絶望の淵で見出す「希望」とは?―『ペパーミント・キャンディー』を題材に(中編)/藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎

・虚構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー 第三十二回 マルクスの亡霊たち―日本人の「一神教」理解の問題点④/富岡幸一郎

・徹底検証! 霞が関の舞台裏 脱藩官僚による官僚批評 第9回 規制改革の舞台裏/室伏謙一

・ひこばえ 風土に根ざす智慧と美徳 第二回 着物と刀―想いをまとい、美を携える―/首藤小町

・経世済民 虫の目・鳥の目 第8回(最終回) 金融教育が日本を滅ぼさないために/田内 学

・欲望の戦後音楽ディスクガイド 第10回 OKI / No One’s Land/篠崎奏平

・東京ブレンバスター⑫ ミツ荒川とオッペンハイマー/但馬オサム

【巻末オピニオン】

・徳と鏡―政治改革論に足りないもの/柴山桂太

【書評】

・『ておくれの現代社会論 ○○と□□ロジー』中島啓勝 著/田中孝太郎

・『政治哲学とイデオロギー レオ・シュトラウスの政治哲学論』早瀬善彦 著/杉谷和哉

・『末裔』絲山秋子 著/橋場麻由

・『たまたま、この世界に生まれて ミラン・クンデラと運命』須藤輝彦 著/前田龍之祐

【その他】

・「戦後レジーム」と「保守本流」 岸田文雄アメリカ演説を考える(鳥兜)

・ラディカルな政治運動と結びつくスピリチュアリズム(鳥兜)

・アイデンティティの「改変」――二十一世紀の「左翼」が目指すもの(保守放談)

・無反省なまま繰り返される観光公害(保守放談)

・塾生のページ

・読者からの手紙(投稿)

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表現者クライテリオン2024年5月号

表現者クライテリオン2024年5月号

2024.04.10

〔特集〕不信の構造、腐敗の正体――政治・エンタメ・財務省

【特集対談】
・日本国家の腐敗をいかに乗り越えるか/亀井静香×藤井 聡
・日本を腐敗させる財務省の工作――政官業+メディアは如何に癒着しているか/須田慎一郎×藤井 聡

【特集論考】
・「戦後家族」の運命――私たちの不信と腐敗の起源をめぐって/浜崎洋介
・民主主義にとって「信頼」はなぜ重要か?/吉田 徹
・過剰な「透明性」がメディアを解体する――権力との「癒着」は腐敗なのか/松林 薫
・特権と人権の区別つかぬ自民党/佐高 信
・「木原事件」が炙り出すマスメディアの沈黙――報道機関を覆う「統制」と「横並び」/西脇亨輔
・「内なる地上波信仰」を捨てよ――ジャニーズ問題とその「腐敗の正体」/辻田真佐憲

【新連載】
・與那覇潤連続対談 在野の「知」を歩く 第1回 古典をよむのは「逆張り」ですか?(前編)/(ゲスト)綿野恵太
・ひこばえ 風土に根ざす智慧と美徳 第一回 令和に芽ぐむやまとごころ/首藤小町

【連載】
・「農」を語る 第1回 「農」から考える、文明のあるべき姿/山極壽一×藤井 聡
・映画で語る保守思想 第10回 絶望の淵で見出す「希望」とは? 『ペパーミント・キャンディー』を題材に(前編)/藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎
・「危機感のない日本」の危機――どこから見ても崩壊している日本/大石久和
・アジアの新世紀 王道を以て覇道を制す――私の見た言論とその未来/大場一央
・虚構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー 第三十一回 マルクスの亡霊たち 日本人の「一神教」理解の問題点③/富岡幸一郎
・徹底検証! 霞が関の舞台裏 脱藩官僚による官僚批評 第8回 国家の役割を取り戻せ!(後編) 民間委託の推進は本当にいいことなのか? 室伏謙一
・経世済民 虫の目・鳥の目  第7回 将来のハイパーインフレに備えるべきこと/田内 学
・欲望の戦後音楽ディスクガイド 第9回 Sun Ra / Space Is the Place/篠崎奏平
・東京ブレンバスター⑪ 同情闘争は始まっている/但馬オサム
・編集長クライテリア日記 令和六年二月~三月/藤井 聡

【巻末オピニオン】
・「嘘」に塗れた日銀利上げ――腐敗を糺さんがために、不信の目を持つべし/藤井 聡

【書評】
・『嫉妬論 民主社会に渦巻く情念を解剖する』山本圭 著/前田龍之祐
・『日本哲学入門』藤田正勝 著/粕谷文昭
・『他人の家』ソン・ウォンピョン 著/橋場麻由
・『キェルケゴール 生の苦悩に向き合う哲学』鈴木祐丞 著/前田一樹
・『一神教と帝国』内田 樹、中田 考、山本直輝 著/冨永晃輝

【その他】
・挽肉は傷みやすい/吉田真澄(寄稿)
・保護主義への準備を(鳥兜)
・なぜデフレ脱却、憲法改正、近代の超克が必要なのか?(鳥兜)
・観念に囚われた病人――滅ぶ日本の必然(保守放談)
・大阪万博の行き詰まりが象徴するもの(保守放談)
・塾生のページ
・読者からの手紙(投稿)

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表現者クライテリオン2024年3月号

表現者クライテリオン2024年3月号

2024.02.06

〔特集〕日本を救うインフラ論――今、真に必要な思想

【特集座談会】
・「インフラ論」なくして政治は語れず/脇 雅史×西田昌司×藤井 聡
・インフラ論で日本は「明るく」なる/白水靖郎×藤井 聡×浜崎洋介

【特集インタビュー】
・「水道老朽化」と「水不足」に危機感を持て/橋本淳司

【特集論考】
・国土計画と産業政策――戦後体制の最良の部分を蘇らせよ/柴山桂太
・緊縮財政論がインフラを蝕む――貧困化の道を突き進む日本/大石久和
・流域共同体の誕生、崩壊そして再生――分散社会へのインフラ投資/竹村公太郎
・理念・理想なきインフラ政策が導く未来/佐々木邦明
・インフラを語ることは、将来の日本と社会のあり方そのものを語ることである/小池淳司
・阪急沿線開発事業にみられる小林一三の思想――真に豊かな国家とは/星山京子
・宮本常一のインフラ論――地方の孤立を救う道路啓開論/中尾聡史
・土木バッシング世論の「黒幕」/田中皓介
・「毒」のある意志――日本人の苦手なインフラ思考/川端祐一郎

【特別座談会】
・アカデミズムとジャーナリズムの連携を探る――学術誌『実践政策学』がめざすもの(後編)/石田東生×桑子敏雄×森栗茂一×藤井 聡

【連載】
・「アジアの新世紀」
  中国化の先に来た「リストカット化する日本」(後編)/與那覇 潤(聞き手 浜崎洋介)
 危機と好機 安岡正篤の場合(最終回) 日本主義がつくる「アジアの新世紀」/大場一央
  台湾・金門島から考える、東アジアの安定とは/田中孝太郎
・「危機感のない日本」の危機 経営者による日本破壊/大石久和
・「農」を語る(第3回)有機農業は日本再生の第一歩である/松原隆一郎×藤井 聡
・虚構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー(第三十回)マルクスの亡霊たち 日本人の「一神教」理解の問題点②/富岡幸一郎
・徹底検証! 霞が関の舞台裏 脱藩官僚による官僚批評(第7回)公共事業悪玉論が日本を自然災害に対して脆弱にした――「財政余力」ではなく「国土強靭化余力」の形成を/室伏謙一
・映画で語る保守思想(第9回)戦争が呼び覚ます「運命」の感覚――『ひまわり』を題材に(後編)/藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎
・経世済民 虫の目・鳥の目(第6回)お金の蓄積が将来の備えにならない当然の理由/田内 学
・欲望の戦後音楽ディスクガイド(第8回)Beck / Mellow Gold/篠崎奏平
・東京ブレンバスター⑩ 日本的ダサさが世界をリードする――アバンギャルディ、没個性の個性/但馬オサム
・編集長クライテリア日記 令和五年十二月~令和六年一月/藤井 聡

【巻末オピニオン】
・平和的であれ、暴力的であれ/川端祐一郎

【書評】
・『訂正可能性の哲学』東 浩紀 著/粕谷文昭
・『きみのお金は誰のため』田内 学 著/小野耕資
・『「逆張り」の研究』綿野恵太 著/前田龍之祐
・『食客論』星野 太 著/橋場麻由

【その他】
・(第六回)表現者賞発表
・正統(ショウトウ)とは何か/前田健太郎(寄稿)
・「政治」を失った社会――敗けてしまった国の末路(鳥兜)
・世界を動かす「ありがた迷惑」な思想(鳥兜)
・不確定事実に対する「知らんけど」批判による常識強化(保守放談)
・派閥は保守政治の宿命(保守放談)
・キャンセルカルチャーとしての「派閥解散」(保守放談)
・塾生のページ
・読者からの手紙(投降)

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