「鉄道と野球」の旅路 1872~共に駆けぬけた150年史『野球雲』vol.8号
「鉄道と野球」の旅路 1872~共に駆けぬけた150年史『野球雲』vol.8号
2017.01.12
【2017年2月28日発売】
なぜ鉄道会社はプロ野球に参入したのか? 「鉄道」と「野球」―二つのキーワードをリンクさせると、新たな近現代史が見えてくる!
今や、日本人に欠かせない国民スポーツとなった野球。その流行のきっかけは一人の鉄道技師でした。そして、野球を日本各地に広めたのは、網の目ように普及し始めた鉄路。一方、私鉄では阪急、阪神、南海、近鉄、西鉄、西武などがプロ野球チームの経営へと乗り出し、繁栄を築いていきます。
また、新幹線もなく、飛行機も使えなかった時代、選手たちの遠征の足となったのは、鉄道でした。
古い野球に新しい価値を見出す--野球史の知られざる「真実」に光を当てる『野球雲』第8号は、そんな「鉄道と野球」の150年に及ぶ旅路をひも解いていきます。
●近代国家の建設は、鉄道の建設なくしては考えられな かった。日本の野球は、鉄道の萌芽の時からそこに寄り 添っていた。
●第1回全国鉄野球大会が開かれたのは、1921(大正 10)年10月だった。鉄道開通50年記念式典の10日 後。都市対抗野球大会より6年も早い。
●1940(昭和15)年夏、日本のプロ野球9球団は満州 に遠征した。7月26日正午、吉林丸に乗船して神戸港を 出発し、29日午前8時無事大連港に到着。その後約400キロを南満州鉄道で北上して午後4時に到着。
●戦後間もない昭和20、30年代は、九州社会人野球 の黄金時代といえる。門鉄、西鉄、国鉄志免鉱業の鉄道組をはじめ、八幡製鉄、別府星野組、植良組、日鉄二瀬、 東洋高圧大牟田など、まことに百花繚乱の趣があった。
●国鉄が野球王国を築く一方で、西日本では私鉄が野球 と深いかかわりを持つようになる。江戸時代の大坂(大 阪)では「お奉行の名さえ知らずに歳暮れる」という川柳が詠まれたが、もともと反中央、反権力の気質がある関西人は、私鉄に深い愛着を持っていた。
●山陽クラウンズは、若い無名の選手を育成してプロ野球界に送り込むことを目標に結成されたが、他球団の選手を預かる育成委託も受けていた。
●西鉄─南海は、黄金カードとなり、大阪球場は満員に なった。名将鶴岡一人(旧姓山本)は、大学や高校の有名選手を次々と獲得するとともに、野村克也や広瀬淑功など、埋もれた素材を見出しスターに仕立て上げた。 (特集より)
目次
特別インタビュー① 町田行彦(元国鉄スワローズ) 20歳のホームラン王・元祖レーザービームと「国鉄スワローズ」
鉄道と野球 広尾晃
最強門鉄と九州の野球 鳥井守幸
山陽クラウンズを追って 松井正
野球を支えた鉄道会社 関口光司
近鉄沿線気質 東大阪で生まれた男 スージー鈴木
満州遠征鉄道記 南部正広
野球殿堂していない国鉄出身の名選手たち
日本野球の始発駅 平岡凞と新橋アスレチック倶楽部 協力 鈴木康允
国鉄と野球 国鉄スワローズとその時代 堤哲
特別インタビュー② 清野智(東日本旅客鉄道株式会社) 社会人野球とともに
遠征と鉄道 1956(昭和31)年巨人-大洋甲信鉄道旅
インパクトベースボール的分析 パースVSスタンカ
DATA LAND 国鉄スワローズ年度別成績 金田正一・町田行彦詳細記録etc
古本三振堂 書評とブックガイド
『阪神電車のジクゾーパズル切符』 古書ビブリオ 小野祥之
『野球小説傑作選 12名の指名打者』 かわうそ堂 泉谷武蔵
『勝ちすぎた監督 駒大苫小牧幻の三連覇』 古書赤いドリル 那須太一
『シューレスジョー』 たつみやたかお
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ISBN 978-4-89992-024-3 C0075 定価 1,200円+税
A5判 176頁 並製