「危機」と対峙する保守思想誌

表現者クライテリオン

2024年11月号好評発売中! 【特集】反欧米論ー「アジアの新世紀」に向けて

啓文社/啓文社書房

表現者クライテリオン 2021年3月号

表現者クライテリオン 2021年3月号

2021.02.08

巻頭言

 コロナ禍の中で、日米欧の没落が激しく加速している中、「一人勝ち」の中国の存在感は一気に拡大し、
2028年にはGDPがアメリカを追い抜くという観測も出始めた。このままなら香港のみならず早晩、
台湾・尖閣を飲み込みかねない勢いだ。
 事ここに至れば、我が国は冊封体制から抜け出すことに成功した古代日本と同じく、これまでのような
侮蔑の念を軸とした単なる嫌中的態度を打ち捨て、虚心坦懐この状況を見て取り、中国の強大さを過不足
なく認識した上で「中国に抗う」姿勢を鮮明に打ち出す他ない。それができねば我が国日本は米国から
のみならず中国からも独立を勝ち取ることはできなくなる。すなわち我が国は今、アメリカのみなず
中国もまたもう一つの我が国と隣接した「超大国」であると見定め、侮ることなく、まして媚びへつらい
付き従うことない「レジスタンス」の姿勢を保ち続ける覚悟を持たねばならないのである。
                              表現者クライテリオン編集長 藤井 聡

【特集1】抗中論 超大国へのレジスタンス

(座談会)「中国の夢」という脅威/福島香織×藤井聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎

・(対談)東アジアの中国と日本(前半)中国を知らない日本人/岡本隆司×藤井聡
・まずは尖閣を死守せよ――“縮小の時代”にふさわしい日本外交とは?/近藤大介
・世界の豚肉の半分を食べる国――生産の半分が失わせて見えた食料事情/岩田寛史
・中国はなぜ情報通信ネットワークの掌握を狙うのか/小原凡司
・ディスインフォメーション・キャンペーンを仕掛ける中国――日本への影響をどう抑え込むか/桒原響子
・親中の何が悪い――理念なき国家の“敗北”/小幡敏

【特集2】コロナが導く社会崩壊

(座談会)「国民の幸福」の最大化をめざせ――“自粛か経済か”の不毛/藤井聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎

・非正規労働者を見捨てるな!――1000件のSOSが訴えるこの国の窮状/雨宮処凛
・コロナを過大視する日本人の心理の背景とその悪影響/和田秀樹
・“自粛強要”で経済を壊すな――緊急事態に陥る“社会の底辺”/鈴木傾城
・コロナ禍中の感情過多と過剰倫理/川端祐一郎

【連載対談】
・大変動期を語る(前編)資本主義の地殻変動/鎌田浩毅×柴山桂太
・永田町、その「政」の思想(第2回)「亡国」を巡る思想と実践/佐藤 優×藤井 聡

【新連載】欧米保守思想に関するエッセイ

第1回 ソルジェニツィン Part1/伊藤寛

【連載】
・財政制度等審議会の理解力/大石久和(「危機感のない日本」の危機)
・種苗法改正の何か問題なのか?――農家の視点から考える/松平尚也(農は国の本なり)
・なぜ中国はコロナ対策に「成功」したのか/松林 薫(逆張りのメディア論)
・宗教原理主義の預言書『邪宗門』/富岡幸一郎(虚構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー)
・妄りな非本質主義 ミシェル・フーコー/平坂純一(保守のためのポストモダン講座)
・移動の自由がもたらす「リベラル・ディストピア」――「移動せずともよい社会」を目指して(三)コスモポリタニズム批判㊄/白川俊介(ナショナリズム再考)
・江戸のハードインフラを守る文化というソフト――日本堤と隅田堤の物語/竹村公太郎(地形がつくる日本の歴史)
・編集長クライテリア日記/藤井聡
・メディア出演瓦版/平坂純一

【寄稿】
《ダウントン・アビー》にみるサムウェア族的価値観とブレグジット/佐藤慶治

【書評】
『私の人間論 福田恆存 覚書』福田恆存 著/薄井大澄
『感染症と民衆 明治日本のコレラ体験』奥武則 著/篠崎奏平
『想像力「最高に高揚した気分にある理性」の思想史』メアリー・ウォーノック 著/酒井佑陶

【その他】
・バイデン大統領誕生に際して――問われる戦後の「JAP.COM」/ 社会崩壊の兆し――「自殺」というもう一つの感染症(鳥兜)
・脱炭素より脱貧困を / コロナ騒動と「常識」の死滅(保守放談)
・読者からの手紙

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